都心で働きながらプロテストに挑戦した日々 第1話
|まえがき
今回のコラムからは、数回に分けて都心に暮らしフルタイムで金融マンとして働きながら、本腰を入れてプロテストに挑戦し、後に資格を獲得するまでの約4年間の日々について、綴っていきたいと思います。同じように都心で働きながら週末サーフィンで海と向き合っている方やサーフィン以外でもトライアスロン等スポーツに対して強い思いを持ち続けながら、ビジネスマンとしての生活も両立している方々に共感頂ける部分がありましたら嬉しく思います。
コラムを書くまでは、実は2年ぐらいプロテストに集中して挑戦し資格を獲得した気持ちでいましたが、JPSAの過去のヒート表などを見ながら具体的に振り返ってみますと、実際には4年ぐらいの期間を経て、いろいろとモチベーションの変化がありながらもなんとか最終的に資格獲得という経緯でした。ウェブ上で当時のヒート表を見かえしただけで、その時の心境、見ていた景色、負けた時に感じたこと等、意外と鮮明に覚えていたのは自分でも驚きであり、なかなか感慨深いものでした。
|挑戦の始まり〜プロ資格への思い〜
自分の場合は毎週試合に出場して成績を追求していった生粋のコンペティターというよりは、様々な形で鎌倉/マウイの海と触れ合いながら成長し、そのうちにサーフィンにはまり、高校の課外活動認定がきっかけとなって定期的にコンペティションに出るようになりました。そして、コンペに出るようになると、今度は最高峰の舞台でどこまでやれるのか実力を試したみたいという思いが湧き、大学生の頃に鴨川で開催されたプロトライアルに記念受験的に出たのが始まりでした。その頃は実力的にもプロ資格獲得があまり身近に感じられませんでしたが、今思うとどこか心の中でひっかかるいつかは成し遂げたい夢としてこの時に自分の中でされ確立たのだと思います。
今振り返ると、この時をきっかけにコンペティターとして本腰を入れて資格獲得まで全戦に出場し続ければもっと若い時にプロ資格を獲得できたのではないかと思ってしまう部分もあるのですが、時期的にちょうど大学3年の就職活動の頃と重なっており、プロツアーの世界に後ろ髪を引かれながらも、特に未練は無いようなフリをし、社会人になる準備を進めていった記憶があります。
その後、晴れて社会人となり、キャリア・ステージの変化に伴い、大会というよりもとにかくサーフィンをやる時間を確保するだけで精一杯、逆にいうならただサーフィンが出来るだけで幸せという時期もあり、コンペからは割と遠ざかりました。
|リトライ〜あと1歩が遠かった2015年~
そうこうして、サラリーマンをやりながら週末サーファー生活を送っていましたが、JPSAの試合やプロトライアルのヒート表はいつもチェックしていて、アマチュア時代に一緒に戦ったサーファーがプロ公認を獲得しているシーンを見ると、心の奥底に悔しい思いがあったのは記憶に残っています。
そんな中で2015年の夏の終わりに転職をきっかけに有給休暇を消化する為にハワイに10日間程サーフトリップに行く機会がありました。数年ぶりに何もかも忘れてただただサーフィンだけに熱中する時間を過ごすことができて、サーフィンの調子もかなり良くなったので、こんな機会は滅多に無いと思い、帰国後に予定されていた茅ヶ崎のプロトライアルに久しぶりに出場することにしました。数年ぶりの出場だったので、特に強い思いやプレッシャーはなく、リラックスしてヒートをこなせたのを覚えています。
プロトライアルでは、予選を勝ち抜き、本戦で規定のラウンドまで勝ち上がった人に公認資格があたえられますが、それに加え、予選ラウンドでも2本の波の合計得点が規定点を上回っていれば1発でプロ資格を獲得できる制度がありました。
この茅ヶ崎の試合は小振りながらも比較的波の形が良く、高得点を出せるチャンスのある波のコンディションで、いきなり数年ぶりの1回戦で11.17の得点(20点満点)を出しました。12点以上がプロ公認を得る為の規定水準だったので、僅かに届きませんでした。その時は次のラウンドに勝ち進んでいたので、気にはとめませんでしたが、その後数年に亘りプロ資格に挑戦し続けた中でも、何気に最も惜しい瞬間となってしまい、運命は非情だなあと後で感じることもありました。(笑)
その後無事にトライアルの次のラウンドも勝ち上がり、プロ本戦1回戦もクリアし、徐々にプロ公認の条件である3回戦突破が射程圏内に近づいていましたが、この試合ではまたまたちょっとしたドラマが起きてしまいました。というのも、2回戦のヒートでしたが対戦相手が本来であれば4回戦であたるはずのトップシード選手が自分のヒートに2名もいるという事態が起きていました。
1ヒート4名で、2名勝ち上がりの制度なのど、そこまでアマチュアラウンドも含めてなんとか3回勝ち上がってきた自分にとってはまさに「マジかよ〜」という感じでした。
久しぶりの試合なのにいくつか勝ち上がれて手応えもあり、楽しい時間をすごせていたので、とにかく自分のベストを出し切ることに徹底しましたが、やはりトップ選手は何枚も上手で、惜しくも3位敗退、完全に判らされた結果となりました。
しかし、不思議と清々しい気分にもなり、やはりプロ資格の夢は諦めてはいけないなという気持ちを思い出させてくれた?思い出してしまった?コンテストでした。
今週はきりが良いのでこの辺で区切りたいと思います。仕事をきっかけに学生時代に情熱をもっていたスポーツから遠ざかったが、夢を諦めきれずに再挑戦へと向かった経緯をお話ししました。サーフィンに限らず、なんらかのスポーツで同じ様な経験をされた方も結構いらっしゃるんじゃないかと思います。
次回は新しい会社に転職した2015年秋以降のストーリーをお送りします。
試合会場となった、茅ヶ崎パークの当日の様子。
写真参照:Surfmedia様より