都心で働きながらプロテストに挑戦した日々 第3話
プロロングボーダーのJulian Hopkinsです。
前回のコラムでは大怪我からの復帰と、プロ資格獲得への思いを今までで一番強くしてくれた2016年シーズンをご紹介しました。今週はツアーに初めてフル参戦した2017年からを綴っていきたいと思います。というのも初戦は毎年バリで行なわれ、これまでは仕事の休暇を1週間とって試合に使おうとまで思えなかったのですが、2016年の試合を経て気持ちが強まり、新しい板も用意し、気合いを入れて2017年シーズンに入りました。
|結果のふるわなかった2017シーズン
プロアマの選手が日本中からバリに集結しているので、滞在期間中色々なポイントで上手い選手とサーフィンをする機会があり、通常では考えられない面白い経験のできたトリップとなりました。そして、時間とお金を使って試合に出る為にバリまで来ているので、試合に向けて気持ちが今までのどのコンテストよりも引き締まり集中できたのも良く覚えています。
大会の予選では波が小さかったのですが、鎌倉に良く似たリーフブレイクの波で、順調に予選を勝ち上がり、本戦のプロ公認を得るための規定ラウンドまで勝ち進みました。出場している選手の人数が国内の試合よりは少ないため、初日に自分が複数ヒートをこなして集中力も高まっている状態で、プロ公認の規定ラウンドに挑めるはずだったのですが、そのタイミングでスコールと雷に見舞われ、寒い雨の中50分程待ったあげく翌日に持ち越しという自分的には少し不運な出来事もありました。翌日に持ち越された試合では前日と波のコンディションが異なり、前日のイメージに引っ張られて波選びを失敗してしまい、全く実力を出せずに敗退するという非常に悔しい思いをしました。
時折スコールに見舞われ不安定な天気となつた試合会場の様子。
その後日本に帰国し、千葉の千倉及び太東で残りのプロトライアルがありましたが、本腰を入れて挑んだ年だったにも関わらず、いずれの試合もアマチュア予選敗退とこれまでで一番悪い結果となってしまい落胆しました。
こういったシーズンを経て、夢を諦めるべきなのかと考えたこともありましたが、あと2、3年本気でやってダメならやめようと区切りをつけることにしました。
|手応えが結果に繋がった2018シーズン
2018シーズンは仕事の調整がつかなかったのでバリの初戦はスキップしましたが、もっと試合というものと向き合い楽しみながらやりたいと思い、JPSA以外のアマチュアの試合にも出来る限り参加するようにしました。そんな中で迎えた自分にとって初戦の太東トライアルでは、プロ資格こそ獲得できなかったものの、今までで一番落ち着いてアマチュア予選を危なげなく勝ち上がり本戦に出場することができました。自分でも成長が実感でき、側から見たら目立たない結果でしたが、確かな手応えを感じられました。
この経験があったので、今後はどの試合もミス無くヒートをコントロール出来れば確実に本戦までは勝ち上がれるなという自信が芽生え、向こう2年ぐらいの間で本戦で自分のチャンスが来た時にきっとプロになれるはずだと、前向きな手応えを感じることが出来ました。
結果的にはこのようなモメンタムを維持した状態で挑んだ次戦の千倉で、自分の期待よりも大分早くプロ公認を得ることが出来ました。なんでこのタイミングで運が回ってきたのかはわかりませんが、完璧な準備と、自信を持つことが結果につながるというプロセスを身をもって学ぶことは出来たと思います。
公認プロ資格獲得時のインタビューの様子。
千倉のコンテストでのライディング。
正直、学校の受験や就職試験と比べても自分が生きてきた中で一番嬉しい瞬間だったのを今でも鮮明に覚えています。今年はコロナウィルスの影響もあり、通常のプロツアーは開催されませんが、これからも仕事をメインとしたスタンスをとりながら、更に上を目指してサーフィンに取り組んでいきたいと思います。
実績をあげることはもちろん大事ですが、このように何かと向き合って試行錯誤し、特にサーフィンは自然相手のスポーツで運もコントロールしなければならないので、挑戦を通じて学ぶこと、得られた成功体験を振り返ることに自分自身が生きていく上でのヒントがたくさん含まれていると感じました。
このような記事にご関心を持って頂けるのであれば、今後も時折サーフィンのコンペにフォーカスし、そこからの学び等をコラムで共有させて頂ければと思います。