福島県いわき市スケボーパーク取材 【その2】
QUIIVERでは福島県いわき市スケボーパークに取材に来ました。
設立に至ってのエピソードをいわきスケボー協会副会長遠山さんに伺いました。
以下遠山駿介さん談
スケボーパークを行政に造ってもらうまでの話をします。
|キッカケ その1
この話は、彼此20年前に遡りますが、当時のスケーターの先輩方が有志を募り、署名活動を行い、行政に投げ掛けた事が始まりで、その時は、当時の情勢等により実現には至らず、苦労した事が多かったと聞いています。
しかし、大好きなスケボーをしない訳にはいかず、地元の横町公園や、今は無き総合体育館の一角にセクションを作り、間借りする形でスケボーに勤しんでいました。
これらの場所は公に認められた訳ではなく、遊ぶ場所がないスケーターの事情を知っていた温かい地元の方々にも守られ、大きな問題もなくなんとか凌いできました。
その後、任意の協会を立ち上げたそうですが、2011年の震災により、満足にスケボーをする環境や普及活動をできる状態じゃなくなってしまい、事実上の解散となってしまいました。
2014年の夏。少しずつ復興の兆しも見え、再び活気のあるカルチャーを作りたいとの想いで「S&S」と言う、スケボーや音楽など密接に関わっているもの同士が共鳴するイベントを、いわき市内の三崎公園野外音楽堂で開催。
今思えば、このイベントを開催し、毎年継続した事で、今まで以上にいわきのスケーターの一体感が増し、パークを造ると言う目標に近づくキッカケのひとつになったのだと思います。
そして、同時期にいわき市のスポーツ協会の一角として、スケートボードを幅広く普及するため、正式に市に申請、いわきスケートボード協会を立ち上げる運びとなりました。
|キッカケその2
2014、15年と三崎公園を中心に公な活動を行なって来たことにより、スケーターの事情を知った老舗のサーフショップのオーナーを介して、薄磯地区の区長さんと知り合う事となります。
区長さんの話を聞くと、津波で被災してしまった薄磯地区の薄磯海水浴場の前に「薄磯多目的広場」と言う駐車場を中心とした広場が2017年夏前に完成する予定で、仕様等を行政と協議している最中だとのこと。
そこで提案されたのが、
『海水浴シーズンは賑わっているがそれ以外のシーズンは閑散としてしまうと思うから、スケボーの練習でもしたらいいべ!』
…まさか、区長さん直々にこんな事を言って貰えるとは思いませんでした。
この一言がキッカケで、駐車場を滑走し易い滑らかな路面に変えたり、駐車場のデッドスペースをちょっしたバンク仕様にした方が、より楽しい空間が作れる等の提案を行政に持ち掛け、実現に至りました。
多目的広場完成後、今まで三崎公園で開催していたS&Sの会場を薄磯に移し、夏の風物詩となるべく、地域の伝統芸能等を交えたお祭りに形を変え、スケボーの普及活動も行なっていきました。
この1件で薄磯地区や行政の方々との面識も出来、パーク完成までの更なるステップになりました。
|いわき市長がスケボーパークを整備すると発表
2018年2月、新聞に掲載されている記事を見て驚きました。市長が記者会見をとおして、スケボーパーク整備する、と発表した内容でした。
この時は、これまでやってきた事が認めてもらえた気がして本当に嬉しかったです。
この記事を読んでから数ヶ月後、いわき市公園緑地課の方々と共にパーク整備へ向けて本格的に動き始まります。
設置場所は冒頭で紹介のあったとおり、21世紀の森公園敷地内で、既存の施設を改修し整備することが、条件でした。
第1回目の会議は公園緑地課、NPO法人日本スケートパーク協会、施工業者、いわきスケートボード協会
総勢30人規模の大会議。
まず、パークのイメージとして、いわき市の地域性である、いい意味での緩さや気持ち良さ、パークが自然や景観にマッチすること、サーファーのオフトレとしても使えるなどの自分たちが描いているものを伝え、そのイメージを図面に落としてもらい、話し合いがスタートしました。
でも、この話が中々まとまらないんです。スケボー協会の人たちは、スケボーに本気で向き合ってきた人が多いので、スケボーの面白さのツボを知ってます。
一方、行政の方々はスケボーに関して、言ってしまえば素人。だが、予算、様々な縛りや責任がある。中々イメージが伝わらず、発想の落とし所には苦労しました。
何度も会議を重ねるうちに、行政の担当の方々もスケボーに関してかなり勉強してくれ、僕たちにも本気で向き合ってくれました。本当に感謝しています。
2020年5月、無事パークが完成しました。
5年前、いわき市にこんなに立派なパークができるなんて想像もしませんでした。自分たちのモチベーションを上げるために始めたS&Sから、様々な方々と交流し、導かれ、やっとスタートラインに立てた感じがします。
これからは、スポーツと文化芸術の2面性を持つスケートボードを共存させて、生涯楽しめるスケボーの魅力を伝えていきたいです。
との事でした。
最後にパーク内にやたらと目立つキッズの子を発見。
新巌くん(11)
五歳の年中からスケボーを始めたという新巌君。
当時は群馬県に住んでいて、近くにスケボーの有名なところがあり始めたとの事。
友達としたり、技が出来た時が楽しくてハマったようでパーク内をすいすい鳥のように軽やかにライディングしてました。
将来の夢は医者をやりながらプロスケーターになるというなんともカッコいい夢を語ってくれました。
新巌君は、キッズにも教えて育成をしているよう。
それもボランティアでやっているという、なんとも頭が上がりません。。。この年でそれをやるって凄くないですか!!!
新巌君のスクールや活動はインスタにて↓↓↓
以上、非常にドラマ溢れるいわきスケボーパークでした。大会などご興味ある方がおられましたらいわきスケボー協会まで連絡を下さい。
最後になりますが、この度は取材ご協力心より感謝申し上げます。
◆いわきスケボーパークについての連絡先はこちらまで
いわきスケートボード協会
副会長 遠山駿介
08060251080