プロとしてのサーフィン【QUIIVER独占インタビュー:プロサーファー大橋海人vol.1】
本日、7/12(月曜日)に世界的サーフメディアであるSTAB MAGAZINEにて大橋海人プロがトップページに掲載されました。大橋さんは過去にもSTAB MAGAZINEにて掲載されたことがありますが、日本人初の快挙とされております。
大橋海人プロは、5月のSTAB MAGAZINE主催のSTAB HIGHに参戦されていました。
この模様は今後STAB MAGAZINEにて公開していくようですので是非チェックして見てください。
今回の記事は大橋さんがコスタリカで試合に参戦している間に参加した二つの撮影で感じた”プロとしてのサーフィン”についてQUIIVERにてインタビューをして見ました。
Interviewer & Writer Tatsuya
Interviewe to 大橋海人プロ(インタビュー中は大橋で表記します。)
日差しを浴びて健康的に焼けた肌で気持ちよさそうに波に乗る。
日本の認識では、サーフィンを「趣味」や「アクティビティ」と捉えている人が多いと思う。
しかし、自分の背丈を遙かに超える波に挑み、時に水中で上下がわからなくなるほど強い波にまかれ、バランスを崩して波と共にサンゴ礁に打ち付けられ顔から血を流す。
そんな強い覚悟を持たないと挑めないサーフィンの世界もある。
約1ヶ月間、コスタリカでサーフィン漬けの生活を送った大橋海人プロ。
海外の仲間と一緒に海に入ってあらためて感じた「プロとしてのサーフィン」について話を聞いた。
Q.なかなか、行く機会が無いコスタリカですがどんな国でしたか?
大橋:僕たちが行った場所は海しかない、田舎でした。その辺に馬がいたり牛が歩いていたりサルとか動物園で見るような動物がその辺にいました。蛍も夜になるとめちゃめちゃたくさんいて綺麗でした。僕は動物が好きなので楽しかったですね(笑)
Q.食事はどんなものを食べていましたか?
大橋:豆が多かったですね。魚とか肉とか、とにかく何でも豆がついてきていました。素材の味がわかるような素朴な味付けで、とくに好き嫌いも無いですし、おいしいものが多かったです。
Q.コスタリカではどのような生活を送っていましたか?
大橋:毎日朝5時に起きて日の出と共に海には行って、夕方の6時ぐらいだったかな。日が暮れるまでサーフィンをしていました。そんな生活を約1ヶ月間続けて、大会(スタブハイ)や撮影に取り組んでいたので最後の方は腕が上がらないくらい疲弊しましたね。でも、とても集中してサーフィンが出来て充実感もあって最高でした。
Q.話を聞くととても楽しそうなトリップですね。
大橋:もちろん楽しかったです。でも、試合だったり撮影で行くとただ、楽しいだけというわけではないです。試合では結果を残して、撮影は良いものを作る。常にそのことを意識していました。それこそ、波がある限りは海から上がれないし、腕がまわらなくなってもパドリングしなくちゃ行けない。プロとしてやっているので。皆さんが仕事できついことがあっても会社に行かなくちゃいけないというのと同じです。
Q.まだまだ、日本ではサーフィンのプロ選手がどのような活動をされているのか理解されていないという面もありますね。
大橋:そうですね。日本の若い選手たちとトリップに行くときにも怒ったりすることもあるんですが、「これは修学旅行じゃないんだよ。つらくても朝早く起きてサーフィンしなくちゃいけない」と。なかなか、日本にいるとその感覚って忘れちゃうことがあるんですよ。僕自身も今回、コスタリカに行って久しぶりに思い出しました。僕たちはサーフィンという仕事に誇りを持って取り組んでいます。
Q.仕事としてのサーフィンについて伝えていかなくてはという思いはありますか?
大橋:もちろんあります。なかなかしんどいことや、努力している姿は裏側なので伝わりにくいとは思います。でも、そこはしっかりと僕たちが伝えていかなければならないと思っています。(大会支援や個人のサポートをしてもらうために)僕たちが死ぬ気で取り組んでいるということを日本の企業の人達にも伝えたいですね。
波が高くて「ミスしたら死んじゃうかも」と思うときも海に入らないといけない。その覚悟を持って取り組んでいるのに「お前らは楽しんでいるだけだろ」と思われてしまうのは悔しいですし、もっと僕たちもしっかりと発信していかなければならないと考えています。―覚悟を持ってサーフィンに取り組む選手たちへの理解がもっと進んで欲しいですね
もし、感覚としてわかりにくいようだったら僕たちと一緒に1ヶ月間生活を送って欲しいですね。
結構しんどいと思いますよ。それこそ、好きで始めたサーフィンが嫌いになるかもしれないです。自然と対峙する僕たちが、死ぬかもしれないという覚悟でサーフィンに取り組む姿を体感してくれたらもっと理解が広がると思います。
Q.自分たちのことを知ってもらう中で大切だと感じることは?
大橋:大切なのは、お互いが歩み寄ることです。僕たちプロの選手はもっとみんなに理解してもらえるように努力をしなければならない。そして、企業の人たちはもっと僕たちのことを見て、知って欲しい。それが良い関係を作っていくために必要なことだと思います。
Q.今回のコスタリカでは、海外の一流選手たちと時間を過ごしたと思いますが感じたことはありますか?
大橋:仲良くしてもらっているデーン(DANE REYNOLDS・元CTサーファーで現在はフリーサーファーとして最前線で活躍中)と一緒に行動していたんですが、みんなに世界一だと言われる一流のサーファーで歳も一番上だったかな?それなのに車を運転してくれたり、僕たちのために買い物してくれたりとにかく良い人なんですよ。サーファーとして一流でありながら、人としても素晴らしい。自分もデーンのような人間なりたいですね。コスタリカでの時間はいろいろなことにあらためて気づけたり、とても充実した時間を過ごせました。
今回、大橋プロにインタビューをして感じたことは自分のことを大切にしながらも、プロとして努力を続ける仲間や後輩。
そして将来プロサーファーを夢見る子ども達への想いが伝わってきた。東京五輪で初めて五輪種目となり、サーフィンへの注目度は高まっている。
一方、今まで以上にプロとしての自覚や競技への情熱を出していかないといけないタイミングを迎えているのかもしれない。
そんな中、大橋プロの言葉には自分だけでなくサーフィンを取り巻く環境をより良くしたいという強い覚悟に溢れていた。