移動距離3000km超えの1週間【飯田航太のぶらりサーフ旅 vol.2】

雪国を離れ、サーフタウンへ

第2弾となりました、ぶらりサーフ旅。
今回は日本中を飛んで走ってパドルして、良い波探しの1週間トリップの様子をお見せできたらなと思います。
実は僕、長野県白馬村に滞在しています。なぜ白馬村に住んでいるのか。京都の海で偶然知り合ったオーストラリア人の ”ショーンさん” との出会いがきっかけでした。

自分自身オーストラリアに住んでいたこともあり意気投合。「白馬でピザ屋を経営しているから今年の冬籠りに来たらいいよ!」そんなこんなで2021−2022ウィンターシーズンは「HAKUBA PIZZA」にてバイトをしながら雪国で生活を送っています。

オーストラリア・ノースナラビーン出身のSeanは数々のレストランを経営してきた料理人。コロナ前はインドネシアと日本を行き来し、サーフィンはもちろん、フォイルサーフィンやバックカントリースノーボーディングまでこなす生粋のスポーツマンなんです。写真は北陸にて2022年の初サーフ。朝一の気温はなんと−17℃で、運転中ダイアモンドダストを見ることができました。

旅の始まり

2月11日

毎日欠かさずチェックしている天気アプリ”Windy”を見ているとどうやら南岸低気圧が発生する予報が出ていました。

そんな中、スポンサーのHRSsurf山田さんから一通のLINEが。

「宮崎行かない?」

最後に宮崎を訪れたのが中学生の頃。ずいぶんと久しぶりのデスティネーションに胸を躍らせ、荷物の支度を始めました。

サーフボード3本、ウェットスーツ2着にブーツ&グローブ。寝具を車に詰め込み、陽が陰りだした白馬を後に車を走らせました。
白馬から湘南までは下道で行くことにしました。所要時間は約7時間。

中間の甲府あたりで寝てから、明け方に運転を再開。
好きな音楽をかけながら、景色の移り変わりやその土地の生活を想像しつつ少しずつ目的地へと近づいていきます。

初めて間近で見る富士山は神々しく、美しかったです。

移動距離:白馬ー湘南 272km

2月13日

宮崎トリップ後の行動も視野に入れ成田空港から出発することにしました。

ボードバッグをトロリーに載せ、空港内を歩く時のワクワク度は最高潮。旅好きのサーファーなら共感してもらえることでしょう。

国際線運行状況は去年に比べ欠航が少なく、パンデミックの落ち着きを感じました。皆さんは国境が開いたらまずはどこに行きたいですか?

宮崎空港着

2月13日(宮崎 初日)

あいにく大雨からのスタートとなったこの旅ですが、ヤシの木が立ち並ぶ光景を目の当たりにすると、まるで海外の空港に降り立ったかのような気分になりました。
成田空港との気温差も10℃以上あり、羽織っていたダウンジャケットをカバンの中にしまいました。

移動距離:湘南ー宮崎 1067km

今回旅のアテンドをしてくれるのはチームhrssurf唯一のサーファーガール芳田花瑚 ”カコちゃん”  
宮崎市内をホームブレイクとし、近年メキメキと腕を上げてきている期待のサーファーです。
陸では天然キャラで常に笑顔、カコちゃんがいるとその場が一気に明るくなります。
波の上ではスーパーアグレッシブなサーフィンをする彼女。
フィンアウトやエアーにチューブまでこなしてしまう、めちゃくちゃかっこいいサーフィンを見せてくれます。

最初の2日間は予報通りの北風ビュービュー。
確実に風をかわすところもあるのですが、人が多いところは避けようということでオンショアのポイントでサーフィンをすることになりました。
市内を離れ北上すること2時間、日向市・小倉が浜に到着。
このポイントは小さい頃に試合でよく訪れていた場所で、変わらない風景に懐かしさを感じました。1時間ほどのセッションを終え、初日は終了。
帰り道に宮崎名物チキン南蛮定食に食らいつき、その美味しさに感動しました。

垣間見える宮崎ポテンシャル

2月14日(宮崎 2日目)

2日目は終日オンショア予報だったのですが、朝一海に着くと風がビタッと止んでいて、面ツルの肩〜頭サイズがブレイクしていました。
数キロの海岸線には数えられるほどの人数しか海に入っていませんでした。
これもまた宮崎の魅力ではないでしょうか。

そこらじゅうにある無人ピークの中から一番ポテンシャルの高そうな場所を選んで入水。
1時間半ほど経ったところで沖の遠いところからザワザワと荒れた海面が迫ってきて、あっという間にツルツルだった海面を埋め尽くしてしまいました。

早起きは三文の徳とはこのことです、良い波乗れました。

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風は止まない予報だったので、日南方面へドライブ。

宮崎の市内から十分ほど離れるだけでこんな景色が車から見ることができるんです。
手前の洗濯岩はもちろん、奥に見える岬のコントラストも美しい。
「鬼の洗濯岩」とは素晴らしいネーミングセンスですよね笑

THE DAY

2月15日(本命の宮崎3日目)

海に着くなり今までとは雰囲気が全く違っていました。
見渡す限り面ツルの海。周期の長いしっかりとした太いうねりが押し寄せてきていて、ガラガラだった駐車スペースにもずらりと車が並んでいます。
着替えるなりダッシュでラインナップへと向かって漕ぎ出しました。

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波の形、水の色、水しぶきの上がり方、完璧な波。
こんな波が空港から10分圏内に無数に存在してるって、恐るべし宮崎。
ピークの多さ、波数の多さで人が散っていていいスポットを見つけられれば、仲間内で貸切サーフなんかも可能です。
上がって休憩してまた入ってを繰り返しているうちに夕方になり、THE DAYは幕を閉じました。
チキン南蛮定食の日々
コスパ最強の定食屋「武蔵野」。チキン南蛮定食600円、ライス大盛り無料という最高にアガるサービス付きです。
しっとりとした衣と少し酸味の効いたタルタルソースがベストマッチ。
映像チェックしながらご飯を食べるのはHRSトリップの定番です。

青島にある「木ノ花キッチン」のチキン南蛮定食。
サクッとした衣の下は、プリプリのモモ肉。タルタルソースもおいしかった。

最後は九州定食チェーン「くろだるま」
チキン南蛮の量に限らずご飯に味噌汁、小鉢までジャイアント。
ガッツリジューシー南蛮を堪能できました。

お店の情報は下記にまとめておいたのでみてみて下さい。
https://goo.gl/maps/C7DaiErdSq7h6DHy6
芳田カコちゃんと別れを告げ、宮崎を後に成田空港へと飛び経ちました。

移動距離:宮崎 400km

追い求める理想の波

腹〜頭のファンサイズがメインとなった宮崎の旅でしたが、次に向かう目的地は打って変わってダブル以上の強烈な波がブレイクするポイントです。
色々なアプリやウェブサイトを使い仲間同士で意見交換、そうして求める波を確実にスコアしていきます。
その裏側では、海に着いたら風があっていない、波高や周期が下がりすぎたなど自分たちなりに導きだした予想が崩れることは頻繁にあります。
でもその中で巡り会えた数少ない理想の波を思い返すと、波を外してしまうんじゃないかという気持ちは消え去っていくのです。
それらを踏まえた上でも、今回の予想には大きな期待が持てるんです。
目的地の近くまで辿り着き、そわそわとした気持ちを押さえ込みながら眠りにつきました。

合わないサイクルとそばにあるパーフェクション

宿泊先からポイントに向かうまで、チラチラと見える海。
油を被ったようにトロトロの海面にはさっと筆で線を引いたような真っ直ぐで力強いうねりが見えました。
ポイントに着くと名だたるメンツが揃っていて、1人また1人と自分のペースでパドルアウト。海を見ながら、Makeableな(メイカブル:メイクできそうな)波が見えた時点で着替え始め、気分が最高潮になったその時、波打ち際へ向かって走り出します。

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この時いつもとは違うフィーリングを抱いていた自分でしたが、無理矢理気分を上げて入水しました。波がデカいからとかじゃなくて、何か違和感があったような気がしたんです。

なかなか合わない波とのサイクル。
ピークを追いかけて、波待ちして、波が来たと思ったら位置がズレて掴めない。待ちぼうけて手前の波に乗るなり裏の波がグリグリのチューブだったりと…。
そんなのを繰り返していくうちに完全に負の連鎖に陥り、手足は氷のように凍て付き、乗る波は潰されるかワイプアウト。ネガティブなマインドになってしまいました。

チューブで潰されて真っ二つになってしまったニューボード。
デカ波仕様で厚く作ってもらったのだが、いとも簡単にへし折られてしまった。

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この時点で自分はサーフィンを楽しめていないと確信しました。
ここ最近どんなコンディションでも同じ板に乗って、同じようなライディングをする日々が続いていて、波や水の流れに対する理解が薄れていってしまったと感じます。
その理由としては自分は気持ちのアップダウンが激しく、サーフィンライフマンネリ化のフェーズに入るとこういった状況になってしまうことが偶にあります。。
そんな時に大事にしたいのは、いろんなタイプのサーフボードに乗って、どんなコンディションでも海に感謝して波乗りをすることだと。
今必要なのはシンプルなことだと、そう思えました。

気分転換

湘南に戻って、いつもとは全く違ったボードで海に浸かり、なんでもいいからとりあえず一本乗ってみました。腹サイズの波だったけど、波からボードへ伝わってくる力強いパワーを足の裏で感じられました。

何も考えなくても乗っている波の上にラインが見えて、それに沿って進んでいく。
そのラインは常に動いていて、人混みだろうがいきなり波が速くなろうが、焦りは一切出てこない。その感覚がたまらなく気持ちよくて、一本また一本と気づけば沖へと漕ぎ出している自分がいました。
海からもらえるエナジーは波のサイズが大きくても小さくても、関係ないのです。
それは受け取る側の姿勢次第なのだと感じました。
遠いところから風と共にやってくる波、波動、水の流れを理解する。
それに決して逆らうことがないようにポジティブなマインドを持って波に乗れば、海はそれを受け入れてくれます。

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自分の限界を知るためのサーフィンは好きで、ここ最近そういった波ばかりを追い求めていました。でもどこかで自分が主役と勘違いをしていて、理想の波は自分を引き立てる舞台でしかない。
でもこの1週間色々な場所に行き、違ったタイプの波に乗り、気づけたことがありました。
それは海が生み出す波の美しさです。オンショアチョッピーのコナミであっても、面ツルチューブだとしても。その美しさに気づけた時に最高の波乗りを楽しむことができると思いました。

ここまで読んでいただきありがとうございます。
サーフィンは難しい分、スランプに陥りやすいです。
そんな時こそ見方を変えて、道具を変える、多少波が良くなくても人が少ないところでサーフするなど環境に変化を加えることで新たな発見があるかもしれませんね。

ぶらりサーフ旅vol.2 1週間の移動距離

白馬ー湘南 272km
湘南ー宮崎 1067km
宮崎 400km
宮崎ー某所ー湘南 1197km

合計 3036km

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