サーフィン競技の見どころ

プロロングボーダーのJulian Hopkinsです。

丁度先週日本のプロツアーの特別戦も開催されましたし、サーフィンをあまりよく知らない人にサーフィンのプロと言うと、
「サーフィンは一体どうやって競うものなんだ?」
と良く聞かれますので、今週はサーフィンの競技についてご紹介していきたいと思います。

—ジャッジによる採点が勝敗を決めるサーフィン競技—

比べるとしたら、全然違いますが、身近なところで言いますと、 フィギュアスケートなんかは比較的近いかもしれません。
制限時間内で演技をして、それに対してジャッジが10点満点で点数をつけるからです。

最も大きな違いとしては、ウェーブプール等の例外は あるにしても、基本的にはコンディションが刻一刻と変化する大自然をフィールドに競技を行う点です。

そのため、選手一人一人が交代で演技を行なうのではなく、4人程度の選手が同時に海に入り、決められた時間内で演技を行い、ジャッジが各選手の演技に相対評価で点数を付けて、4人中2人(3人の場合も2人勝ち上がり、2人の場合は1人)が次のラウンドに勝ち上がるトーナメント形式で行なわれます。
複数のヒート(試合)を勝ち上がり、最後まで勝ち残った選手が優勝者になります。

通常、ヒート時間は20分〜30分程度で、乗って良い波の数の上限(上限まで使い切ることは頻繁には起こらない程度の数)が決められており、その中で乗った一番良かった2本の演技の合計点が各選手の評価となります。

なので、10本乗った選手と2本しか乗らなかった選手でも、後者の2本のライディングが優れていればその選手が勝ち上がりとなります。
また、1本素晴らしいライディングが出来ても、その後もっと良い波を乗ろうと待ちすぎて、結局バックアップの点数が上げられず、無難な波に2本乗った選手が勝ち上がるなんていうことも起こります。
出場する選手たちは自分の試合の何時間も前から他の人のヒートを観戦し、点数の伸びる波の入ってくる場所やタイミングを見極めて、自分のヒートに挑むことになり、試合中の他選手との駆け引き等も非常に魅力です。

これに加えて最近ではプライオリティルールというものも頻繁に導入されるようになりました。
簡単に言うと試合が開始し各選手が波に乗ったら、それ以降は乗った順に優先権が付与され、一番高い優先権を持っている選手は次に波が入ってきた時に、自分の好きな波を選ぶことが出来、他の選手はその選手が波に乗ろうとした場合は譲らないといけないルールになります。
最近の試合ではこのプライオリティルールを如何にして活用するかも勝敗を左右する点となり、この部分の駆け引きも非常に見所です。
このプライオリティルールに違反して、自分より高い優先権を持った選手を邪魔してしまうと、邪魔した選手はペナルティが課せられ、勝ち上がるのがかなり難しくなります。

—ジャッジングのポイントとロングボード競技の新潮流—

次に 演技に対するジャッジングに関してですが、これはジャッジング・クライテリアというものが設けられており、それに沿って各選手のライディングに複数のジャッジが点数をつけて、各点数の間をとった水準が付与されます。

以下、2019年度のものになりますが、WSL(国際的なプロサーフィンの組織)の公式なジャッジング・クライテリアからの抜粋です。

<ショートボード>

Surfers must perform to the WSL judging key elements to maximize their scoring potential. Judges analyze the following major elements when scoring a Ride:

– Commitment and degree of difficulty
– Innovative and progressive manoeuvres
– Combination of major manoeuvres
– Variety of manoeuvres
– Speed, power and flow

NOTE: It’s important to note that the emphasis of certain elements is contingent upon the location and the conditions on the day, as well as changes of conditions during the day. NOTE: The following scale may be used to describe a Ride that is scored: 0–1.9 = Poor; 2.0–4.9 = Fair; 5.0–6.4 = Good; 6.5–7.9 = Very Good; 8.0–10.0 = Excellent

<ロングボード>

Article 70: Judging Criteria for Longboard

The Surfer must perform controlled manoeuvres in the critical section of the wave utilizing the entire board and wave using traditional longboard surfing. The Surfer who performs this to the highest degree of difficulty with the most style, flow and grace will receive the highest score for a Ride.

Further to that above, the following are key elements for Judges to consider:

Nose riding and rail surfing
• Critical section of wave
• Variety
• Speed and power
• Commitment
• Control• Foot work

NOTE: It’s important to note that the emphasis of certain elements is contingent upon the location and the conditions on the day, as well as changes of conditions during the day. NOTE: The following scale may be used to describe a Ride that is scored: 0–1.9 = Poor; 2.0–4.9 = Fair; 5.0–6.4 = Good; 6.5–7.9 = Very Good; 8.0–10.0 = Excellent.

https://www.worldsurfleague.com/asset/28821/2019%2BWSL%2BRule%2BBook%2B-12092019.pdf

私はロングボードのプロなので、この辺りからどうしても話しがその方面に向かってしまいますが、もう少しだけお付き合い頂ければと思います。

ショート/ロングの競技のクライテリアに関して概ね共通点も多いのですが、太字でお示している箇所はショートボードのクライテリアに対してロングボード特有のものとなります。
以前はロングボードもショートボードもほぼ共通のクライテリアの下、如何に良い波を過激に攻め、難易度の高いライディングができるかが評価されていましたが、昨年ぐらいからはかつて世界的なプロロングボーダーとしても活躍されていたDevon Howard氏がロングボード・ツアーのコンテスト・ディレクターに就任し、過激さ、難しさだけではなく、ロングボードらしさ、美しさ、スタイルをコンテストでもより重視していこうとする動きが強まっています。

なお、下線部にもあるように、どの点により重点を置くかはコンテストが開催される場所の波質や当日のコンディションによって変化します。

昨今のワールド・ツアーを観戦していると、ジャッジも少し試行錯誤しながらこの変化に適応していっているように感じられ、ロングボード・ツアーにおいて各選手が同じライディングを目指すのではなく、

自分のスタイルを貫いて、ベストな演技を目指しているのが感じ取れ、波に対する様々な異なるアプローチが見れるのも見所かと思います。

ミッドレングスでのDevon Howard氏による美しいライディング

国内のロングボードツアーでも徐々にこういった点を選手も意識しているのが見受けられ、世界全体でロングボードの競技が転換期に差し掛かっているように思います。国内ツアーでしたら先日の鴨川の大会のようにABEMA TVでのライブ中継もあり、徐々にお茶の間に近づいていっていますので、観戦の機会がありましたら、こういった点も是非ご注目頂ければと思います。

長くなってしまいましたので本日はこの辺で失礼させて頂きますが、別の機会にまたロングボード競技のニューウェーブについてご紹介していければと思います。

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