ビジターフレンドリーな国内サーフスポット~日本海編~【飯田航太のぶらりサーフ旅 vol.1】
Cover Photo by @eddkelly
目次
はじめまして
初めまして、プロサーファー飯田航太です。
本題に入る前に、僕のことを知らない方がほとんどだと思いますので、少しだけ自己紹介をしたいと思います。
1998年生まれの、23歳。
サーフィンとは無縁の内地で生まれた自分が波乗りと出会ったのは、6歳の時。旅行先でのサーフィン教室で初めて波の上を滑りました。
それからの17年間、人生の軸には波乗りがあります。
地元を離れたのが11歳の時、四国の徳島県へ。
そして15歳の時に高校留学でオーストラリアへ単身で渡って、大学在学中にコロナの影響で帰国するも再入国することができず、今は地元神戸をベースに週一ペースで海に足を運んでいます。
このコーナーでは、月に1回日本国内、勿論海外も。
僕が旅をしてきたサーフポイントや地域のオススメスポット、そして人情あふれるローカル達をご紹介していきたいと思います。
ローカル気取りからビジターサーファーへ
僕は、11歳から21歳までずっと海のそばに住んでいました。
ホームポイントを持っていたことから、ローカリズムのことを深く考えたことがなかった。
恥ずかしながら小学校高学年の頃、四国のビーチブレイクで入っているときは、少しばかり偉そうにしたり、強引に波を取ったりしてしまっていた覚えもあります。
なんでそんな横柄な態度をとっていたのだろう?
それは単純に「ここに住んでいるから!」
この考えは、いろいろな人たちに出会う中薄れていき、一つのホームポイントを持たなくなった今の自分の心からは消え去ってしまいました。
今はどこの海に行っても、僕はビジターなのです。
常に1つのエリア・ブレイクをメインにサーフィンしてきた僕ですが、帰国後は太平洋と日本海の色々なポイントを巡っています。
そんな神戸に住んでいる自分がホームポイントと感じられるような、お気に入りの関西サーフスポットを紹介したいと思います。
京都府 京丹後市 八丁浜
僕が一年を通して一番多くお邪魔しているエリアである京丹後市。
夏は丹後ブルーと呼ばれる真っ青な海と真っ白な砂浜。
冬にはその砂浜は純白の雪に覆われて、丹後の松葉ガニを目当てに大勢の観光客が訪れます。
丹後エリアには主に6つのサーフスポットがあって、その中でも大好きな八丁浜について紹介したいと思います。
八丁浜は僕が小さい頃から通っているポイントで、思い出深い場所です。
丹後半島は日本海に突き出しているので、比較的風を受けやすい地形になっています。
その中でも八丁浜は扇形の地形になっていて、風をかわしやすいポイント。
西風で他のポイントで面が荒れている時でもここに来れば面ツルのパターンもしばしば。
東側にかけてサイズが大きくなるけど風に敏感、西側は風に強くてワンサイズ小さい。
地形は横に長く、ピークが多いので波取り下手の僕にはもってこい なんです笑
選ぶバンクによってサイズ・波質が変わるので、ロングからショートまで楽しめるポイント。
おすすめは、北風が吹いた翌日が狙い目!
駐車場の横には大きな公園「八丁浜シーサイドパーク」があります。遊具で遊んだり、スケートボードや、サッカーまでも楽しめる空間になっていて、家族で来ても一日中楽しめますね。
守源旅館
守源旅館は大正7年創業、100年以上の歴史を持つ老舗旅館。
八丁浜から徒歩10分、車で2分の風情ある網野の町に佇んでいます。
館主の守山倫明さんは言わずと知れたサーフレジェンド。
サーフライダーファウンデーションジャパンの前理事長を勤められていたり、ビーチクリーンが広まるきっかけとなった「JPSA クリーンビーチカップ網野」を開催するなど、海を愛するウォーターマンです。
館内には宿泊しなくても利用できる、和風レストラン “ Blue” と居酒屋バー “Poem”があります。守源のお料理は感動するくらい本当に美味しいんです。
夜の ”Poem” では美味しいご飯とお酒を飲みながらサーフィンの話に花が咲きます。
八丁浜を訪れた際は是非足を運んでみてください!
館主守山倫明さん、気さくな知識人。
面白い話に毎回耳が離せない(2019年、コロナ前なのでマスク無し)
守源旅館
京都府京丹後市網野町網野656
TEL.0772-72-0155
Website: https://morigen.com/
Instagram: https://www.instagram.com/s.morigen/
!! 八丁浜ポイントの注意点 !!
波が大きくなると大変危険な離岸流が発生します。誰も入っていないようなコンディションや、自身のレベルでは対処できないようなサイズの場合、絶対に入水することのないようにお願いいたします。
京都府 京丹後市 琴引浜
琴引浜は先ほど紹介した八丁浜から車で東へ10分のポイント。
ここはサーフィンじゃなくて、鳴き砂で有名な砂浜です。
鳴き砂はとても綺麗な砂浜でしか起こらない現象で、海辺の工事やゴミの増加などの環境の変化が生じると鳴かなくなるそうです。
さて、このポイントは小学生の時に初めて訪れたポイントで当時は波のハードさに苦戦した覚えがあります。
去年の夏に台風が日本海沖を通過し、北海道に抜けていきましたた。
その翌日、琴引浜は胸肩セット頭オーバーの面ツル。
ピークは3つあって2つのピークには各10人ほど。
もうひとつのピークは誰も入っていなくて貸切状態。入る前から叫んでしまうような最高のコンディションに巡り会いました。
この時のセッションは湘南から石川ケンタくん、沖縄からは宮城和真プロ、後藤大和、原田省吾。
真っ白な鳴き砂をキュッキュっと鳴かせながら波打ち際まで一目散に走っていき、海底が丸見えな丹後ブルーを突き進んで沖のラインナップに向かいました。
しっかりとしたうねり。暖かい日本海の海に違和感を感じながらも、頭くらいの波にテイクオフ。何発技が入るんやと思いながらライディングしたスーパーロングライド。常に大きなセクションが出てきてくれて、パワーもあったのでカービングにリップにエアー、好きな動きを好きなだけできる、夢のような波。
3ピーク。真夏の日本海でこのクオリティーをスコアできたことは嬉しかった!
価値あるセッションでした。
気づいたら5時間もサーフィンしてて、消費カロリーは一撃2000kcal超え。。それだけ楽しいセッションだったってことですね!
京丹後エリアでは一番うねりを拾うので、このポイントは必ずチェックするようにしています。
!! 琴引浜の注意点 !!
海を見て左側に岩場があり波が割れているのですが、そこでサーフィンをした人が岩に打ち上げられ怪我をして、地元民に救助されることが毎年起こっています。岩の周りではサーフィンをしないようにしてください。
福井県 高浜町 難波江海岸
名前を聞くと難しい波の入り江?少々ハードルが高そうなネーミングですが、ここも関西圏では有名なサーフスポット。平日は空いていますが、波のある土日は多くのサーファーで賑わっています。
実は難波江に行くようになったのはここ最近なんです。去年の冬、大先輩プロサーファーの 間屋口タカヒデくん アテンドでここのビーチブレイクのおもしろさを教えてもらいました。
サイズは腹胸くらいでコンパクトだったんですけど、セクションのバリエーションが豊富でしたね。
難波江は波数が多いので、波に乗れるチャンスが多い。極寒を忘れるくらいパドルとライディングしました笑
毎回行く度に地形が違ってホレてくるスポットも変わってくるので、「スケートパーク」みたいな楽しさがあるんです!
新しい技を練習したい人とか行ってみるといいかも。サイズが腹以下ならミッドレングスやロングボードで沖のバンクからインサイドまで長い距離乗れるので面白いと思います!
FLX Tbase
今年の夏に難波江海岸の目の前でサーフショップ・温水シャワー完備25台停められる駐車場 “FLX Tbase” をオープンした間屋口タカヒデくん。
運が良ければタカヒデくんの鬼スタイルサーフィンを間近でみられるかも? 冬の海上がり、温かいコーヒーと温水シャワーは最高です!波情報・予報がインスタグラムでアップされるので、難波江でサーフィン予定の方は要チェック
FLX(フリックス)
福井県大飯郡高浜町難波江68-7-1
TEL. 07-7050-1115
Website: https://flx-surf.com/
Instagram: https://www.instagram.com/flx031/
!! 難波江海岸の注意点 !!
路上駐車が問題になっているそうなので、波チェックを含む邪魔になるような路駐はやめてください。
ローカルリスペクトの必要性
ここ数年、「海はみんなのものだ」と嘆くサーファー達をよく目にします。
そうです。海はみんなのもの。
でも忘れて欲しくないのは、そこのポイントを守ってきた人たちがいるということを。
「守る」というのは決して「海の中での秩序」だけじゃなくて、その場所がサーファー達に開放され続けているということです。
上に挙げたポイントでも、サーファーによるゴミのポイ捨て、駐車場での立小便、地元民との口論など、挙げればキリのないほど問題は起こっています。
海辺に住んでいないサーファー達の見えないところで。
どこどこのローカルサーファーは威張っているとか聞く。でもそういった問題と戦いながら彼らの愛する地元ポイントでこれからもサーフィンを続けられるように守ってくれてる人も多いんです。
近所のよく行く公園の駐車場で立小便している人、ゴミをポイ捨てする人がいたら嫌ですよね?
毎日見ず知らずの人たちが「公園(サーフスポット)」を訪れます。
その中にはそんな人も少なからず存在しているでしょう。ローカルサーファーの警戒心が高まるのも無理のない話です。
僕はサーフィンに行くと、陸でも海でもすれ違う人には必ず挨拶をしています。
その相手がローカルだったら、「この人はルールを守ってくれそうだな」と感じてもらえるのではないでしょうか?
ここ2年間、自分はローカリズムが厳しいと言われるポイントに行くことが多いです。
そういうポイントに行く際は事前に地元サーフショップ、その土地について詳しい人からの情報を得る。
3人以上では行かない。ラインナップが混んでいると入水せず待機。
これらを守っていると嫌な顔をされたり、怒られるようなことは一度もありませんでした。
少し話が固くなってしまいましたね。でも国内のポイントを守っていくために最低限知っておいて欲しいなと思います。
最後に
ここ一年で最もサーフィンした、関西お気に入りのサーフスポットを今回はご紹介させてもらいました。
紹介させてもらった八丁浜、難波江海岸、琴引浜はボードジャンルを問わず、幅広いレベルのサーファーが楽しめる。
そして各ポイント、ピークが多く混雑を好まない方、波取りが苦手な方にもおすすめできます。
受けるうねりはほとんど同じです。
波のサイズ順に並べてみますと、
大きい 琴引浜 > 八丁浜 > 難波江海岸 小さい
といったサイズになります。
冬型や、日本海を通る低気圧の序盤に選ぶなら難波江海岸。
通り過ぎた翌日は八丁浜。そしてうねりの終盤は琴引浜といったようなポイントチョイスができますね。
一年を通して楽しめる日本海エリア。皆様もいつものポイント選びとは違った、波開拓の旅に出てみませんか?