初インプレ!3年間乗りこんできたAlbum surfboardsパフォーマンスツイン

Cover Photo by Kenta Kawana

パフォーマンスツイン

プロサーファーの松野陽斗です。
今回は、パフォーマンスツインについて書いていきたいと思います。
最新のサーフシーンに敏感なサーファーの中には、最近この言葉を耳にする機会が増えた人もいるのではないでしょうか?

現在世界中でブームとなっているツインフィンをセッティングしたサーフボードは、いわゆるクラシックなスタイルが特徴のレトロフィッシュなどがイメージしやすいと思います。

ゆったりとしたフロー、フィンとフィンの間を流れる水が足の裏を伝う感覚が癖になるその乗り心地は、多くのツインフィンユーザーを産み出してきたと思います。

自分もそのうちの1人です。
そんな中、自分が新しく見つけたのが「パフォーマンスツイン」というまた別のツインフィンの形。
今ではスラスターは手元になくほぼパフォーマンスツインのサーフボードしか乗っていません。

では、そのパフォーマンスツインとはどんなサーフボードなのか
今回のテーマ“Album surfboards“がツインフィンとどう関係しているのかをお伝えしていきたいと思います。
(以後、ツインフィンをセッティングしたサーフボードのことをツインと書かせてもらいます)

アクション特化型ツイン

ではまず、パフォーマンスツインについて話していきましょう。
分かりやすく一言で表すなら、タイトルにある通り
「アクション特化型ツイン」と考えていただければ良いと思います。
パフォーマンスのショートボードとレトロフィッシュ、それぞれの長所を良いとこ取りしたハイブリッド的な存在です。
ではレトロフィッシュに比べてパフォーマンスツインがどのようなことを可能にしてくれるのかを簡単に話していこうと思います。
通常のレトロフィッシュはテール幅が広いものが主流で浮力も多めに設計されているので、パワーレスな波でもスピードがつけやすいのが特徴。
潮が満ちている時に自分は良く使います。
逆に、潮が引いた早めのセクションだったり、オンショアで海面が荒れている時には機能を十分に発揮しきれないのがデメリットです。
つまり、レトロフィッシュをかっこよく乗るには海のコンディションを選ぶ必要があるんです。
海のコンディションが悪いと急激にその良さを引き出せなくなるところに欠点があります。
そこを綺麗に補えるのがパフォーマンスツインの最大のメリット。
その特徴としてレトロフィッシュと大きく違うのが、テールエンドの絞り具合。
テールを絞ることによってコントロール性が増します。
例えば、ワイドな速い波だったり、タイトなセクションでもパフォーマンスボードに近い小回りのきくライディングができます。

状況が変わりやすいビーチのサーフスポットが多い日本において、レトロフィッシュの乗り味も感じられつつ、もっと汎用性の高いサーフィンをしたい。
そんなニーズに応えられるのがパフォーマンスツインなのです。
では、自分がここ数年乗り込んできたパフォーマンスツインを紹介したいと思います。

未だ日本で多くは語られていないサーフボードブランド“A LBUM surfboards

海外ではJosh KerrAsher Pacey、その他スタイルフルなサーファーがライダーであり、最近では元CTサーファーのTaj BurrowJackFreestoneもテストするほど現在フリーサーファーとして活躍する面々から熱い支持を受けている、Matt Parkerがシェイプを手掛けるA LBUM Surfboards

スラスターからツインまで幅広いサーフボードのラインナップがある中で、世界中から注目されているのがTwinsmanLightbenderといったモデルのパフォーマンスツインなのです。
世界最大のサーフウェブマガジンであるSTAB magazineでも取り上げられるほど。

ではなぜコンペテターとして活躍していたサーファーたちに愛されているのか。
そこにはツインフィンの常識を覆したアクション性の高さに魅力を感じたからなのではないかと思います。
実際に彼らの映像を観ても、ツインらしからぬパフォーマンスボードのようなアグレッシブな動きがベースにあります。
自分も3年ほど前に初めてALBUM surfboardsに乗ったのですが、その時に乗ったのが“InsanityというモデルでJosh Kerrの中古だったんです。

乗ってみて感じたのが「超攻撃型ツインフィン」でした。

惚れ込んだその性能と乗り味

その時自分が乗っていた“Insanity”というモデルにはJosh Kerrがさらにチューニングを施しており、通常のアウトラインのテール側にウィングを入れることによって、さらにテールエンドを絞り、ツインでできる極限までアクション性を特化させた作りになっていました。
もはや、フィッシュではなくスワローテールの形状。
基本的に乗っている間は普通のショートボードと変わらず、フェイスを走るときもレトロフィッシュのようなクルーズ感はほぼ皆無と言っても良いくらいです。
でも、速い。
どこにそんな力を隠し持っているのかというと、全体的にボードの前側にボリュームを残したデザイン、それとターンをする時の踏み込みに理由があります。

数種類のALBUM surfboardsのモデルを乗ってきた中で共通しているのが、
・アップスで踏み込んだ時
・ボトムターンでレールを入れ込む時
・トップで蹴り込む時
全ての,力を入れ込むピンスポットでツインならではの流れが生まれるのです。

イメージとしては、瞬時にギアが2段階上がるような感じです。
そこでボトムからフィンの間→エンドまで爆発的に水を流すことで、技と技の繋ぎを滑らかかつアグレッシブなサーフィンを作り上げることができると思っています。

パフォーマンスのショートボードほど後ろ足を踏み込まなくても、そのスピードのおかげで力みすぎずにターンを繰り返すことも可能です。(踏み込みすぎるとルース*します)
*ターンをする時にレールがずるずると海面を滑ってしまうこと

このスポットのブーストこそが、パフォーマンスのショートボードでは補いきれないツインならではの強みを兼ね備えたALBUM surfboardsの最大の武器。

基本的に前側にボリュームがあるので、しっかりと前足でサーフボードを押さえるのがスピードを出すポイント。ルースを抑える後ろ足コントロールと加重。
左右で力の入れ方が全く違いますが、そこのバランスを足の裏の感覚で探すのもまた面白いです。
慣れるまでは難しいですが、一度モノにしてしまえばクセになる乗り心地です。
そしてそれを高レベルでボードビルディングしていることがALBUM surfboardsを手掛けるMatt Pakerの妙技だと思わせられます。

終わりに

自分が乗り込んできて感じたALBUM surfboardsパフォーマンスツインの魅力、少しは伝わりましたでしょうか。
このサーフボードブランドに出会ってから自分のサーフィンが楽しく、今までのサーフィンの幅が広がったと素直に言えます。
そしてそれがまさしくMatt Pakerの策にハマったと言いますか、サーフボードのデザインからティントに及ぶアート性まで、彼のボードビルディングの理念として第一に「楽しさ」を置いているところにも、自分が惚れ込んでオススメしたい理由があります。

サーファーである以上、その自由なスポーツ性から自分が乗る道具にはこだわりを持ちたいという方も多いと思います。
日本でツインフィンのサーフボードに乗るサーファーのほとんどはそのこだわりと乗り味に惚れ込んだ方々だと思います。
そんなマニアックな人たちにも、まだパフォーマンスショートボードしか乗っていなくて、少し興味がある人たちにも是非乗ってもらいたいのがパフォーマンスツイン。
是非、新しいサーフィンの可能性へ踏み込んでみてください。

松野陽斗

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